サクソフォーン愛好家であればおそらくご存知の世界的サクソフォーン奏者、ケネス・チェ氏(Kenneth Tse)にインタビューさせていただきました。
また、原文の英語も日本語版の後に併記しますので、英語で直接読みたい方はそちらでお楽しみ頂けます。
※誤訳等ございましたらこちらのフォームからお知らせいただければ幸いです。
1. プロのサクソフォーン奏者になろうと思ったきっかけを教えてください。
私が7年生(中学1年生)のとき、私は本当にトランペットを演奏したいと思っていました。なぜなら、「なるほど、これは勇ましい楽器だ」と思ったからです。
しかし、私がバンドのディレクターに近づくと、彼は私の手と歯を見て、私にサクソフォーンを持たせて帰宅させました。
後でわかったことですが、それはバンドにセカンド・アルトが必要だったからなのでした!
それが私がサクソフォーンを始めたベースとなっています。
バンド・ディレクターはファゴット奏者でしたが、彼は私の初期の上達において非常に励みになり、助けになりました。それについて私は感謝しています。
2. サクソフォーン奏者として人生のターニングポイントとなったのはいつだと思いますか?
私の高校の音楽図書館には2つのサクソフォーンのレコードがありました。1つはあまり良くはありませんがもう1つは魅力的です。
それはユージン・ルソーによるコンチェルトの録音でした。
私は昼も夜もそれに耳を傾け、美しい音色、達者なテクニック、そして魅惑的な解釈の虜になりました。
その録音は私の初期の学習のより良い部分として私の教師になりました。
1989年のある日、私はサクソフォーンの巨匠の訪問に伴い演奏するように求められました。
世間知らずにも、私は自分自身に、「私はこの人が私の持っている録音と同じくらい良い奏者なのだろうか」と問いかけました。
その午後私は一人の紳士に出会いました。名前をユージン・ルソーといいました。
私はあまりにも「ユージン・ルソー」という彼の名前の詳細を覚えていてとてもナーバスでしたが、私たちは素晴らしいマスタークラスを行うことが出来ました。彼はカミーユ・サン=サーンスの「白鳥」を記憶だけで演奏しました。
彼のサウンドは素晴らしく聴こえましたが、私は後で録音を調べるまでは彼が同一人物であることに気付きませんでした。
ユージン・ルソー氏との出会いは、確実に私の音楽人生のターニング・ポイントでした。
その後は皆さんもご存知の通りです。
3. これまでサクソフォーン奏者として多くの想い出があると思いますが、最も印象深かった公演やイベントがあれば教えてください。
単に思い出すには余りにも多くのことがあります。
1つ選ばなければならないとしたら、それは1996年のカーネギーホールでのデビュー・リサイタルです。
それは私がニューヨークを訪れた初めてのことであり、多くの友人がコンサートに来てとても特別だったので、思い出深いものでした。
ニューヨーク・タイムズからも批評家が来ていました!
4. 日本の相愛大学でも客員教授を務められますが、日本の印象はいかがでしょうか。
正式には2018年から務めます。
しかし、私は相愛大学の学生と一緒に仕事をしてきましたし、そのすべの瞬間を楽しんでいました。
私は何度も日本に行って、多くのサックス奏者と共に働いてきました。
私にとって最も貴重なものの1つは、学生が教師に示す敬意です。
そして彼らが教師たちにどのくらいうまく気を使っているか。
他の国の学生は無礼です。
彼らは一般的にアジア人、特に日本人と同じ考え方を持っていません。
たとえば、私が自分では運べないほどの楽器を運んでいない限り、私の生徒が私の楽器を運ぶことはありません!
勘違いをしないでください。
その行為は、学生またはその人格の質を反映しているわけではありません。
私は自身に関してそれについて言及しているだけで、私は日本人学生のそういった側面を楽しんでいます。
尊敬だけでなく、もちろん、日本のミュージシャンは献身と鍛錬で有名です。
彼らの演奏と学習の質は、サクソフォーンの世界で最高のものです。
私は彼らの多くと友人になることを誇りに思います!
5. 日本の若いサクソフォーン奏者にアドバイスをお願いします。
上述したように、彼らはすでに一流の職業倫理を持っています。
私の唯一の提案は、彼らがさまざまなアイデアを公開し、アイデアの良し悪しを区別できるようにすることです。
彼らは教師や友人のアドバイスだけに従う傾向があります。
彼らは自分自身で考え、分析する必要があります。
しかし、私は文化的には日本が独特であるということも理解しています。
6. 日本のファンにメッセージをお願いします。
日本を訪問することはいつでも喜びであり光栄です。
たとえ私が世界中の多くのサックス奏者の友人を持つことに恵まれているとしてもです。
日本のサクソフォーン・コミュニティはいつも私の心の中にあることを知っていてほしい。
そして、私はできる限り頻繁に訪問するよう最善を尽くしています。
その間は、オンラインで連絡してください!
インタビュー・翻訳:梅本周平(Wind Band Press)
1. Why did you thought want to become a professional saxophone player?
Actually, when I was in seventh grade I really wanted to play the trumpet because I thought, ‘Well, it is a masculine instrument.’ However, when I approached the band director, he looked at my hands and teeth and sent me home with a saxophone. Later I found out that it was because he needed a second alto in the band! That was basically how I started. Although the band director was a bassoonist, he was very encouraging and helpful in my early development, for which I am grateful.
2. When do you think it was the turning point of life as an saxophone player?
At my high school music library there were two saxophone records: one not very good but the other mesmerizing. It was the concerto recording by Eugene Rousseau. I listened to it day and night and was captured by the beautiful tone, facile technique, and captivating interpretation. That recording became my teacher for the better part of my early studies.
One day in 1989 I was asked to perform for a visiting master of the saxophone. Naively, I thought to myself, ‘I wonder if this person is as good as the one on my recording.’ That afternoon I met a gentleman by the name of Eugene Rousseau. We had a wonderful master class, although I was too nervous to remember details such as his name, and he performed Camille Saint-Saens’ The Swan by memory. He sounded terrific, but I still did not realize that it was the same person until I looked up the recording later. Meeting Eugene Rousseau was definitely the turning point in my musical life. The rest is history.
3. I think that you have many memories as saxophone player so far. Please tell me if you have the most impressive concert, recital or event.
There are simply too many to recall. I guess if I must choose one, it was my debut recital at Carnegie Hall in 1996. It was memorable because that was the first time I visited New York and many friends came to the concert, which made it very special. And I even had a critic coming from New York Times!
4. You also serve as a Guest Professor at the Soai University in Japan. How about impression of Japan?
My official duty won’t start until 2018. However, I have worked with the students there at Soai University and I enjoyed every moment of it. I have been to Japan many times and have worked with many saxophonists there. One thing that still is the most precious to me is the respect that the students show to their teachers. And how well they take care of the teachers. Not that students from other countries are disrespectful. They don’t have the same mentality as Asians in general, especially Japanese. For example, my students would never carry my instruments unless I am carrying more than I can! Don’t get me wrong. That act does not reflect the quality of the student or his/her personality. I am only mentioning it because for me, I enjoy that side of Japanese students. Besides the respect, of course, Japanese musicians are famous for their dedication and discipline. The quality of their playing and learning are one of the highest in the saxophone world. I am proud to be friend with many of them!
5. Please advise the young saxophone player in Japan.
As I mentioned above, they already have a first-class work ethics. My only suggestion would be for them to be open to different ideas and be able to differentiate good or bad of those ideas. They tend to follow only advice of their teachers and friends. They need to have their own thought and analysis. But, I also understand that culturally Japan is unique in that they follow.
6. Please give your message to your Japanese fans.
It is always a pleasure and honor to visit Japan. Even though I am blessed to have many saxophonist friends around the world. Know that the Japanese saxophone community is always in my mind. And I am trying my best to visit them as often as I can. Meanwhile, please keep in touch online!
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